歯周病について
歯科医院を受診される方は「詰め物やかぶせものがとれた」「歯が欠けた」など”むし歯”に関することがほとんどです。
しかし、厚生省の統計によると、日本人の実に80%の方に何らかの歯周病があると言われています。
定期的な受診で早めのチェックを行いましょう。
治療の進め方
痛いところがあったり、かみにくいなど不自由があれば応急処置を優先します。
その後、以下の手順で歯周治療を進めます。
歯周検査
健康保険で定められた範囲で出来る検査項目です。
- 現在歯の状態
- 歯周ポケットの深さ(6点法)
- 動揺度
- 出血度
- 歯垢清掃度
- 根分岐部病変
- 咬合関連検査
- 口腔内・顔貌写真撮影
- X-線検査(全顎:初診時、治療後、定期検診で1~2年毎、その他必要に応じて部分的に撮影)
- 細菌検査(オプション)
- その他(口腔内模型、など必要に応じ)
診断
重症度を歯牙単位で細かく分析し、診断します。
治療
重症度に応じた治療ステップで患者さんと相談しながら治療計画をたてます。

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1)基本治療
一人の衛生士が最初から最後まで担当します。
生活の指導や、ブラッシングのトレーニングをさせていただきます。
口の中の細菌を減らし、環境を良くするため歯垢や歯石を除去したり、簡単なむし歯の治療などをおこないます。
軽い段階であれば、この時点で治療が終わります。 -
2)確定治療
歯周手術、歯周組織再生手術など、進行した部分に絞った歯周病の治療をします。
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3)歯周補綴
インプラントや補綴物(冠をかぶせる、ブリッジを装着するなど)による咬合の回復、審美性の回復、矯正治療などの仕上げ段階。
それぞれの病状に応じ、治療計画の立案、期間、費用の要望を承り、患者さんと十分相談します。その人にとって将来、理想的な方法を提案します。 -
4)メインテナンス
一連の治療終了後、重症度に応じ、3か月から6か月に一度定期検診を行います。
様々な条件で完治が難しい方は、1ヶ月毎でのメインテナンスの相談もお受けしています。
治療結果を長持ちさせるには定期的なお口のメインテナンスが不可欠です。
再生療法
リグロスを使用した再生手術
近年、保険収載された薬剤による再生手術が保険適用で行えるようになりました。
詳細は当院までご相談ください。
エムドゲインを利用した歯周病治療法について
比較的軽い歯周病であれば、歯や歯の周りを清潔に保つ治療を続けることで治すことが出来ます。
しかし、炎症が歯肉の奥まで進行し、歯周組織の破壊がひどい場合には、
歯周組織を回復させるための手術(歯周外科手術)が必要となります。
この手術の際に、手術治療を補助するための歯周組織再生誘導材料という歯科用の材料が使われることがあります。
エムドゲインゲルとは、スウェーデンのビオラ社で開発された新しい歯周組織再生誘導材料のことです。
エムドゲインゲルの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、
子供のころ、歯が生えてくる時に重要な働きをするたん白質の一種でできています。
現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、幼若豚の歯胚から抽出精製したもので、世界28カ国で使用されています。
歯周外科手術の際に、手術部位にエムドゲインゲルを塗布することにより、歯の発生過程に似た環境を再現することができます。
こうして、初めて歯が生えたときと同じような強固な付着機能を持つ歯周組織の再生を促し、健康な歯周組織を取り戻します。
エムドゲイン再生療法の実際

エムドゲインゲルを使用した治療が行なえるかどうかは、歯周病の程度や患者さんの健康状態によっても異なります。

まず最初に治療する部分の歯肉を切開し、剥離します。


抜糸は手術日から約2週間後に行ないます。
歯周組織が再生するまでの期間は個人差があり、歯周病の程度によっても異なります。
術後のスケジュールの詳細も状態によって異なりますので、必ず定期的な検査を受けて下さい。
治療が終了した後も、口の中の衛生状態を定期的に検査することをお薦めします。
仮に、3ミリの骨が再生したとすると、約8年分の再生が得られたことになります。
又、これによって歯の喪失を防ぐことができる、という大きなメリットが得られることになります。
詳しくは当院まで、お問い合わせ下さい。
糖尿病と歯周病
糖尿病と歯周病は、密接に関連しています
近年の研究で、歯周病が糖尿病を悪化させる原因の一つであることが明らかになっています。
歯周病と糖尿病は密接に関連し、歯周病が改善すると糖尿病も改善することが分ってきています。
糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cが改善します。
糖尿病やその疑いのある方は歯周病のチェックと治療をお薦めします。